クラウドサービスのアカウント通知をBoxのコラボレーション機能でしているお話

今年はブログを書かずに終わりそうでしたが、年末によくあるアドベントカレンダーに参加して書いてみました。
アウトプットは重要ですね。

今日の内容は、以下のアドベントカレンダーによるものです。
そして、このブログの内容はLRMで行っているものになります。

この記事で紹介すること

LRM株式会社では、代理店として取り扱っているBtoB向けクラウドサービスのトライアルや正式版の納品において、アカウント情報を含むPDFファイルによる通知方法に、コンテンツコラボレーションプラットフォーム「Box」のコラボレーション機能で通知していることについて、経緯や実施している理由、効果について自身の観点で紹介します。

そもそも、「Box」による外部との共有とは?

LRMで使用している「Box」は、コンテンツコラボレーションプラットフォームとの名のとおり、社内でのファイル共有はもとより、社外とファイル共有も安全、かつ簡単に行えます。

共有の対象

共有の対象は、ファイル(コンテンツ)単位と、フォルダ単位のいずれも可能です。

共有の方法

共有の方法には、「リンク共有」と「コラボレート」が選択可能です。

リンク共有

「リンク共有」は、共有の操作で発行される専用のURLによる共有の方法です。
共有の範囲を「URLを知っている人すべて」にすると、Boxアカウントの登録有無を問わずアクセスが可能です。

コラボレート

「コラボレート」は、メールアドレスによる共有の方法です。
Boxアカウントの登録が必要ですが、共有したメールアドレスで登録している人のみがアクセス可能であり、リンク共有と比較して詳細な権限設定が可能です。

手前味噌で恐縮ですが、「リンク共有」と「コラボレート」の違いや使い分けについては、LRMで公開している以下の記事をご参照ください。

クラウドサービスのアカウント情報通知に、Boxのコラボレーション機能を使っている理由

以前は、メールによる添付ファイル暗号化(添付ファイルを暗号化Zipファイル化したメールと、暗号化を解除するパスワードのメールの2通に分けて送信する、いわゆるPPAP)を用いていました。

昨今のPPAPに対するセキュリティ観点での評価を見直す流れもある中で、より安全かつ確実にお客様へアカウント情報を通知し、お客様にも安心してお受け取りいただける方法を検討し、Boxのコラボレーション機能を用いた通知に切り替えることにしました。この対応は2020年8月より開始することになり、併せてお知らせで公表しています。

運用開始時に気をつけたこと

この運用を開始するにあたり、お客様環境で生じる懸念として以下を想定したと記憶しています。

  • お客様のネットワーク環境、社内ルールなどによりBoxにアクセスできない懸念
  • お客様にてBoxアカウントの登録を完了できない、アカウント情報が見つけられない懸念

これらの懸念について、それぞれ以下の準備をしました。

お客様環境により、Boxにアクセスできない懸念への準備

お客様環境によりBoxへのアクセスが不可になる懸念は、お客様からのリクエストに基づいてPPAPによる送信方法も残すことにしました。

ちなみに、PPAPについてはLRMが提供するクラウドサービス「メールZipper」で自動化しています。この運用を開始後、同サービスのWebダウンロード機能による運用を追加し、2021年12月現在、お客様への通知方法はBox コラボレーション機能→メールZipperによるWebダウンロード→メールZipperによる添付ファイル暗号化の順でのフォローになっています。

Boxアカウントの登録を完了できない、アカウント情報が見つけられない懸念

Boxアカウントへの登録が行えない懸念については、以下を準備しました。

Boxからの招待メールを見逃さないよう、コラボレーション招待時のメッセージを統一

LRMよりお客様へのコラボレーションによる共有を行う際、メッセージの内容・設定項目を手順書としてまとめました。
手順書には、招待を送信する直前に「メールアドレス」「権限」「メッセージ」を確認する項目を加え、抜け・漏れが無いようにも努めています。

※手順書の詳細については開示しておりません。ご了承ください。

Boxアカウント登録、アカウント情報の確認手順をマニュアルで作成

先のお知らせにもありますが、Boxを初めて利用する方向けにBoxアカウントの登録も含めた手順と、Boxアカウントを登録した後の確認手順それぞれを、以下マニュアルで準備しました。

フォルダで共有を行い、フォルダ名を「お客様組織名_LRM」に統一

アカウント情報が見つけられない懸念への対応として、フォルダ単位での共有とし、該当のフォルダ名について「お客様組織名_LRM」に統一としました。

末尾に「_LRM」を加えることで、LRMが招待したフォルダであることを明記しています。

予想と結果

運用開始以前は、以下の予想をしていました。

  • Boxで受け取ることができず、PPAPによる送付を希望する方が1割
  • Boxアカウントの登録手順が分からず、問い合わせが増える

しかし運用開始したところ、以下の結果になりました。

  • Boxで受け取ることができず、PPAPによる送付を希望する方が想定の1/3程度
  • Boxアカウントの登録手順は分かるが、Boxからの招待メールを見過ごしてしまう

後者については、以下の追加対応を行いました。

弊社スタッフのBoxユーザー名に社名を加えた

弊社スタッフのBoxユーザー名は漢字のフルネームにしていました。
この状態でBoxによるコラボレーションで招待すると、招待を受けたお客様(メールの受信者)には、Subjectが「○○○○があなたをBoxでコラボレーションに招待しています」のメールが届くことになります。「○○○○」には、弊社スタッフのフルネーム個人名が入ります。

このメールの受信者であるお客様は、心当たりの無い第三者からBoxの招待を受けたと判断し、迷惑メールとして削除やスルーするケースが多く発生しました。

これを回避するため、Boxのユーザー名を「○○○○」から「LRM ○○○○」に変更し、Subjectが 「LRM ○○○○があなたをBoxでコラボレーションに招待しています」 になるよう調整しました。

Boxからのメールを見つけられるよう、From、Subjectを具体的に案内した

運用開始当初、Boxからメールが届くとのみ案内していましたが、お客様にて該当のメールを見つけられない状況が発生しました。これに対応するため、お客様にご確認いただける様、該当のメールにおけるFromやSubject等の特徴を具体的に案内する方針に転換しました。

Boxコラボレーション機能による効果

アカウント情報を安全なクラウド上に保管し、必要な時に参照可能に

アカウント情報をLRMとお客様のみがアクセス可能なクラウド上に保管することで、必要なときにいつでも参照が行える様になりました。

お客様にてアカウント情報の所在が分からなくなった場合にも、LRMのサポート窓口へ再発行を依頼する事無く、Boxにログインするのみでお客様による自己解決が可能になりました。

お客様でのダウンロード状況が確認可能に

トライアル、正式版をお客様に納品した後、お客様におけるアカウント情報の参照状況をLRMで確認できるようになりました。
アクセスが無い場合、その状況に合わせたお客様へのより適切なフォローが可能になっています。

終わりに

Boxは、 コンテンツコラボレーションプラットフォームとして、コンテンツ(ファイル)の共有が簡単、かつ安全に行えます。これにより、より安全かつ確実にお客様へアカウント情報を通知し、お客様にも安心してお受け取りいただく方法を解決する方法をBoxのコラボレーション機能で満たすことができました。

なお、Box コラボレーション機能はBoxの全プランで行えますが、Box Businessプランですと招待されたユーザーのライセンスも必要になります。本機能を活用するには、Box Business Plusプラン以上をお勧めいたします。

この記事を書いた人

HORIE Keisuke

SaaS、ホスティング、NPOの企業・組織にJoinしているパラレルワーカー。 #情シス / #コーポレートIT の比重がかなり高め。
趣味は #ボウリング だが、最近は投げる機会がめっきり少なく、未だにスコアは200に届かず。まだまだこれから。